実は彼女とつきあっています

コラム星人シリーズとしては、今回「番外編」的な記事になりそうです。

自分の星には、猫がいないので、私はどうつきあえばいいのか、上手なつきあい方が、いまひとつコツがわかりません。

この猫を意識し出したのはいつ頃からでしょうか。
振り返れば2年ぐらい前から知っています。強く意識し出したのは、去年からになるでしょう。

隣家のおばさんが、時々リードをつけて散歩する姿を見かけるようになりました。猫にリードって、結構めずらしいので、凄く印象的でした。

たぶん、ご主人が先に逝かれてお一人暮らしなのかもしれないなどと想像しています。この近所、そういう御宅が多いのです。おそらく日本中に起きている現象だと思います。子供たちはとっくに巣だっていって、より長寿の女性だけが、お一人で暮らしている。そういう家は、すぐわかります。使う部屋は限られているので、使わない部屋は雨戸を閉めきっています。こういう御宅の方が、オレオレ詐欺のターゲットになるのだろうななどと勝手に思います。

去年のある日、出掛けようとして一階に下りたら、
「にゃ~おぅ」と足下で呼ぶ声がするのです。

気がつけば 鳴いて呼んでる 猫友よ
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私のインスタグラムには、「フォトフレーズ」と称する川柳か短歌を添えています。猫の写真はわずかですが。

すでに触れたように、この猫の存在には以前から気がついていたのですが、この日の「にゃ~おぅ」には参りました。私に気があることが、一瞬でわかってしまったからです。誤解に基づくきっかけであっても、始まる時ははじまるのです。地球の男女同士でも、たぶん同じなのでしょうね。コラム星人同士でもまったく同じです。

ところで、猫の性別どうやって見分けるのでしょうか?皆目見当がつかないのですが、先日、別の黒い猫がいて、私の猫友を追い回す風な動きを見ました。そこから判断して、わが猫友はオンナのコと判定したしだいです。

今度、隣のおばさんに会ったら猫の名前も聞こうと思っているのですが、なかなか会えません。ただ、一度だけ会話したことがあるのですが、「まだ若い猫ですよね」と私の見立てを言ったら、おばさんは肯定していました。

私が、この猫に親近感をもつようになったのは、川柳に思いをこめたように、その猫がいることに気がつかないでいるのに、向こうから声をかけてくれるようになった時からです。私を認識している、とはっきりわかりました。出がけや帰りがけに、よく出くわすようになり、私から意味もない言葉を適当にかけるようになっていたので、猫の方でもおぼえたのでしょう。

こんにちは 猫にあいさつ 教えてる
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しかし、先日驚くことがありました。リードなしで、このコが出てくるようになったのです。あのおばさん、猫を見放したのかなと思ってしまうのですが、もどってくる躾が完成したからなのか、そのぐらいの年齢になったからなのか、などと思いは猫の目のようにグルグル回るだけです。

ぜったい一度、撫でてやりたいと思っているのですが・・・。この間、かなり接近できたのですが、「ニャオー」と言われると、こわがっているようで、こちらもひるんでしまいます。もともと、こういう扱いまったく知らないのです。ペットとは無縁の星で育ちました。地球で子供の頃から慣れ親しんでいる人は、その辺、全然違いますよね。

最近気がついたのは、甘えるような「 にゃ~おぅ」の時と、怒りぎみの「ニャオー」とがあることです。
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放し飼いにしたら、オスの黒猫もやってくるわけだし、大丈夫なのでしょうか。クロネコヤマトさんも
時々来るけど、そちらは心配ありませんが。

また、もうひとつわからないことがあります。それは、リードをはずされた猫が例の猫と「同一人物」なのか、確定できていません。リードのない状態の写真と並べてみたので比べてみてください。ひょっとしたら、リードのない方は親?いやいや、同じでしょ?
紅い胸当て(何か名称あるはず)の方は、より若く見えますが、口元の柄の特徴といい、ポーズといい、これは同じ?

同じかな 違う猫かな 迷います
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昨年秋以降、おばさんと会えていないので、確かめようもありません。

もう一枚写真を出しますが、これは夏に涼むために
隣家の二階の窓際で、よくこういう風に、じっとしています。猫ちゃんがちょっとわかりにくいかもしれません。こちらも二階なので、「窓越しに見つめ合う二人」なのです。この日は、曇天で薄暗い写真になっていて残念です。
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何また夏に撮ればいいさ、というわけにいかないのがつらいところです。実は、この猫ちゃんとお別れしなくてはならないのです。

この記事をアップする頃には、私が、この町から去っていることでしょう。
この町は、とても気に入っています。丘の上にあって、谷底を京急線が走っています。横浜以南は、「駅まで平坦」が売りになるのです。横須賀の方までずっと、線路脇がすぐ丘や山の地形なのです。この部屋の窓から眼下に赤い京急電車の往来を見下ろすことができます。

この地形も気に入っているのですが、ここに越して来たある朝、ゴミ出しに家庭ゴミ集積所に行った時のことです。ゴミをネットに入れようとしたら、先にいたおばさんが「それ頂戴、入れておくから」と言うのです。私は、びっくりするとともに、もどりながら感動していました。『なんてやさしい町なんだ!』と、とってもいい気分になっていました。

このファーストインプレッション(第一印象)で、この町に対する思いは決定的になりました。そのおばさんの顔は覚えていませんが、その後ゴミ出しに行った時に会う人には「おはようございます」と言うようになりました。

この町に来る前のところでは、ゴミ集積所にオヤジ
が待ち構えていて「町内会費払ってないヤツは置いてくな!」などと、追い返された者としての経験談は言っておかなくてはなりません。

私は、地球のJapan勤務に固執していますので、引越しても日本国内でのことです。皇紀二六八十年、こんな歴史の国は他にはありません。日本でのコラム綴りを続けるつもりです。

よき町で 愛はかなわず さようなら
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猫友に会う機会があれば、その最後のやりとりを書き込みしますが、あるかどうかはわかりません。
私も引越準備にそろそろかからなくては、と思っています。

一週間か十日間ぐらい、引越準備をしながら、日々この町との名残りを惜しむ感じでした。一月の末近くになって、いきなり暖かい日があり、早い梅も春の予感をあちこちに運んできてくれていました。そんな中、ちっとも猫ちゃんは現れず、このまま会えずじまいかと思いつつ、不動産屋に退出、明渡しの
日を迎えました。最後の日です。

不動産屋と待合せたのは、午後一時です。空っぽにした部屋を見てもらい、鍵を渡す時です。もう、何回引っ越すのでしょうか。これは、他の星のミッションを担うコラム星人の運命です。

私は不動産屋と会う直前に、粗大ゴミを集積所に運ぶ最後の作業をしています。市の粗大ゴミ回収シールを貼った最後の粗大ゴミであるハンガーラックを運ぶために、やれやれこれで終わりだな、と思っていたら、突然猫ちゃんが現れたのです。

全く予期せぬことで、手に荷物もあり、写真を撮る余裕もありません。ほんとは、私の足元に駆けよってくれて、しゃがんだ私が最初で最後のなでなでとなるべきなのですが、そうはならず、彼女は、ためらうように、はにかむように、一旦塀に隠れ、またそこから顔だけ出して、こちらを見ていました。

にゃ~おぅ、と言ったのは私です。それが最後でした。昨日のことです。
写真は撮れずじまいだったので、やむを得ず以前のものを使わざるを得ません。
にゃ~おぅ!★

見送りに 思わずなみだ ありがとう
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執筆後記
あるブログを読んでいて、率直に気持ちを表現することに、なんと言うか、ささりました。自分の理屈ぽさがガツンと照射された感じがしたのです。すでに、この言い方が理屈ぽい。

その体験を経て、理屈抜きに書くとしたらどうしたらいいだろう、と考えていたら「番外編」を思いつきました。コラムというよりエッセイのような感じ、内容的にはコラム星人の日常、といった感じでしょうか。今後、時々「番外編」が混在するようになるかもしれません。

そうそう、インスタのリンク貼っておきます。
写真はまだわずかです。