太田光に反省は要らない

10月31日のTBS選挙特番での太田光の言動が炎上していることを知った時、ついに来たか、と思ったものです。いつかあるかもしれない、と彼の発言に触れるたびに感じていたことが起きてしまい、こんなに早かったか!と少し複雑でした。つまらないことで騒ぎに巻き込まれることを懸念していたからです。
太田は、自分は立憲民主党に「投票した」と語ったらしいことが伝わってきたし、特番中の発言は、TBSに言わされている感、使われている感があるように思えて、急に彼がピエロに見えてきました。
光代社長は必死で火消しにツイッターで発信していたようですが、火に油を注いでいるのでは、ともとれました。そのうち、このことについては、アカウントを乗っ取られた発言もあったようですが、乗っ取られたのが本当なら、太田をガードしようとする光代社長の必死の思考が実にリアルに出ていて、面白いところでした。タイタン事務所にとって由々しきことであり、一大事発生なのでしょう。その辺、乗っ取り犯は、巧みに太田夫妻を見抜いています。この点では、真に乗っ取りだとしたらリアリズム的には成功した表現を達成しているとも読めます。

その後、来る日も来る日も、このことに関して、様々な人の発言が出てきて、日本が今のところ平和だと感じさせるものがありました。あまり気にも止めずやり過ごそうとしているのに、次から次へと非難・批判の動画があがってくるので、本気で気になってよくよく観察していると、そもそも誰がこんなことを言い出したのだろう、どういう人が批判しているのだろう、などと、興味が湧いてきました。

まず、事実関係の要点の確認ですが、番組の中で太田は落選した甘利明に「ご御愁傷様でした」と言った点や、当選となった二階俊博に「人相悪い」や、「いつまで政治家を続けるのですか」とコメントしたことが問題とされているようです。また、彼が「ウッヒッヒッヒ」と笑いを交えたことも感じ悪いことになっています。

しかし、私の個人的な結論を先に言えば、太田光は何も問題ないと思っています。
私に届いた一報はすでに炎上していて、冒頭に書いたような印象を持ったわけです。ここで、推測でしかないのですが、放火犯人がどういう人なのか、見てみたいと思います。まあ、着火した連中と、それに乗せられた輩は別者かもしれませんが。

炎上パターンからすれば、ツイッターなどでネット民から起きて、騒ぎが広がり、その後言論人がそれを分析、批判する形で燃え上がったのだろう、と見ます。(厳密に最初のチャッカマンが誰かはわかりません。)太田は、自分が「立民に投票した」とも語ったらしいので、自民党の応援者は太田憎しの感情にまず着火し芸人が何を言うか!と思ったのかもしれません。そこには、すでに芸人として成功し、富も築いた彼に対するヤッカミもあったかと想像します。しかも地上派TVのMCとしてのポジションも手中にしているわけです。彼のように庶民から芸一筋で登り詰め、日頃からアブナイ発言をしているヒトは最初から狙われていたと言えるかもしれません。
左利きのネット民も、正論をかざし「不快だ」などと太田タタキに便乗した可能性があるのでしょう。

次は、目立つのは右利きの言論人の批判です。どういうメンツかと言うと、山岡鉄秀、朝香豊、平井宏治、阿比留瑠比、坂東忠信、加藤清隆、西岡力、ホンコン、上念司、KAZUYA、宮脇睦などが、批判の濃淡はあれ、異口同音という感じです。「不快だ」「歳上の人に失礼だ」などの、耳を疑うような良識家ぶったコメントなので、おやおやどうしたのか、と思ってしまいました。また、TBSを非難する意見も多く見受けられます。TBS社長肝いりの太田起用だったわけで、日頃から地上波TVを問題視している彼らにすれば当然のことでしょう。
関連して松本人志も「歳上の人に言うべきではない」との意見を語るのを見て、全く下らないと感じます。常識人ぶるのは止めて政治的なことにも触れ、ヤバい発言を一度でも言ってみてもらいたい。

私が思うに、保守系言論人はふだんから太田の言動に接しているとは思えません。まあ、地上波TVの番組チェックの中で、太田を見ることはあるかもしれませんが、漫才はじめ、上田との応答や伯山との問答を見ることはないでしょう。全然太田を知らない連中が地上波憎し、TBS憎し、の延長で太田をディスりにいっているように見えます。それに、芸人の分際で!というどこか小馬鹿にしている本音も感じられのです。「政策で突っ込むべき」「自分の意見を言うのではなく相手の意見を聴き出すべき」「もっと事前の勉強が必要」···そんな正論こそ要りませんから。薄っぺらぺら!

太田が実際に甘利や二階とやりとりしている逐一を確認してみましたが、全くいつもの太田でした。たっぷり時間をかけての討論の場でもなかろうに、政策やら、政策もどきやら、そんな時間もない中での、丁々発止のフットワークの場で、「甘利さんお金の問題は···」とか「二階さん人相悪くないですか」は、実に胸のすく一撃であったと思います。こんな直球は彼でなければできないことです。「政治家いつまで続けるんですか」などは、まともな国民ならもっとも言いたかったことではないか。
そんな中、比較的冷静な太田批評になっていたのは、「KAZUYA CHANNEL GX」でのKAZUYAの分析や、「WiLL増刊号」での白川司のコメントだったと思います。そもそも彼らは太田の言動をよく知っているのです。ここは、炎上したことだけを見て太田を非難した保守言論人との差がくっきりと際立ったのではないでしょうか。上念司は太田をよく知っているとした上で批判していましたが、常識的でまったくつまらないものでした。炎上ネット民に迎合しているだけではないか。

ネット民はいつでも「炎上チャンス」を狙っているのであり、いつでも着火、放火しようとして、100円ライターを持ち歩いているのです。わが国のネット言論の成長過程、まだまだ未熟な状態と言わざるを得ません。この点で、可燃材料として太田は狙われていたのかもしれません。
太田も日頃から明確に政治的な立場を明確に表明することは、たぶんなかったのではないでしょうか。笑いがとれればいいだけの芸人と思われる中で、本人自身そう振る舞ってきたのではないでしょうか。
芸人に関わらず、俳優、歌手など、芸能人も政治的な立場を明確にすべきだと思います。日本はGHQの洗脳工作に未だにかぶれていて、全く幼稚なまま戦後70数年を迎えています。今回の選挙で自民が勝ちましたが、待ったなしとなった憲法改正も、国民がどこまで付いていけるかは、疑問が残ります。

そういう今、そのあたりの急先鋒となる可能性を太田は持っていたと言えます。漫才の中で政治批判に触れるやりとりは、散発的であり、まったく甘いものだとは思います。そこが狙われる由縁です。「こいつ芸人だけどしっかり考えもっているじゃん」と思われれば、周囲はみだりに突っ込んだりしないでしょう。そこ、ガッツリと表明すればいいのです。もちろん光代社長からの禁止令が出る可能性はありますが。ですから、ここはわが国の言論が成長できるチャンスの局面と言えるわけで、ここで太田を萎えさせてしまったら、未完の大器に終わってしまいます。彼自身がそちらの方向に自己を蛻変させる志向を持っているかはわかりませんが。

右利きの先生方は、太田の攻めどころを間違えています。二階の「顔のこと言うのは失礼」だと!百田尚樹先生は虎ノ門ニュースの中でたびたびMCから「顔のこと言うな」と諫言されているではないですか。自分たちは、安全な右界隈のネット番組の中で言いたいことを言っているだけではないか。地上波で一度言ってみろ、と申し上げる。これをやるのは太田ぐらいなのですよ。
そもそも太田は、ドン滑りする発言、場の空気を読まないセンスが持ち味なのであって、それを二階に失礼などとはその指摘こそ滑っています。中国とズブズブでは、二階の人相が悪くなるのは当然であり、まともな右利きなら、よくぞ太田言った!と喝采すべきところでしょう。私は、日頃から右の論陣を張っている先生方が、こんなに浅ましく見えたことはありません。
阿比留先生などは、「TBSの悪意を感じる」とまで不快感を表していますが、こんな終わっているTV局を相手にしてどうするのですか。

太田は今回、立民贔屓を吐露しているわけだから、保守系言論人としては、そこを攻めるべきではなかったか。立民に国家観に基づいたまともな提案力などないし、共産党と共闘した段階でアウトでしょう。そこを攻めなくては!
全く突っ込みが足りない。思想信条の自由を思って遠慮したのでしょうか。実は、太田が自らの政治観をきっちり表明したことがないとすれば、もしかしたらボケで立民の立場に立ち甘利や二階をかましていたのではないかとの疑念も残るわけで、そこが突っ込み不足ではないか。あるいは、光代社長が蓮舫と昵懇の写真も出た以上、太田の本心は左にシフトしていることが、今回初めてさらされたのかもしれません。だとしたら、そこを抉るべきだったのでは、という気がします。芸人のくせに何の知識もない奴とたかをくくっているから、攻めきれていないわけです。太田の政治的スタンスは、本当に立民なのか?

今、こんなにヤバい世界情勢の中で、全く場違い、別世界のお花畑で日本の選挙が行なわれています。ほしいのは成熟した議論です。朝ナマのような、わめきあうだけのものではなく、たとえば、最近比較的冷静な議論になったのは、竹田恒泰ロンブー淳との選択的夫婦別姓問題についてのやりとりでした。淳はしっかり聴きたいというニーズがあったし、竹田も論破するというより、ティーチングに努めたようなもので、見ている方も理解が深まる効果があったと感じられました。

私は、立民を支援する太田の思想信条を冷静に聴き出すべきだと思っています。そういう場を作り、議論させればいいのです。
ある意味わかりやすい太田のような存在を通じて、政治議論が日常的に行なわれるようになればいいし、芸能人であろうが「政治ネタはタブー」をやめて、日本はまともに、大人にならなければならないのです。
政治家も憲法ネタや軍事ネタは票にならないと避けるのではなく、真っ向から議論できる風土を作らなければならぬ。マスコミや、特に地上波TVはその責任があるはずですが、まあ、それは期待できないとして、ネット番組ででも、これ、すぐ企画できるはずです。

太田も、漫才の中でチョロチョロ政治批判を出すのはいいとして、まともに意見を開陳すべきではないか。そうすることで、もっと大きな太田になり得るのではないか。
日本に必要なのは、政治言論を活発に空気のように語り合うことだと思います。そこが成熟できないで、憲法改正論議も青いままでいては末代までの恥、永遠の禍根となりかねません。だから、ここで太田を潰すのではなく、太田を使うべきではないか。
日本は変な国です。反日の大学教授、作家、弁護士、政治家、知識人がのさばっています。米国の洗脳工作がいまだに解けていない、悲しい東洋の島国です。このままでは機を見てアメリカに見捨てられ、中国に割譲されてしまうのではないか。脱炭素などというまやかしの論議にのせられ、日本の産業を潰され得る経済弱体化工作も進行しています。わかりやすい中国の反社ぶりなどとは違い、日本はアメリカの精妙な支配下にあり、いつでも放置される程度の関係と見るべきでしょう。日本の成熟した議論と憲法改正にとって、辛辣な芸人太田光を活かせるかどうかは、その試金石として私の目には映っています。日本国が御愁傷様とならないように、国民一人ひとりの覚醒が必要ではないでしょうか。★